【廃業】勢いで作ってしまった一人会社の法人を畳む方法【休眠】

法人を設立してみたけど、売上が伸びず、会社を畳みたい。

そんな人のために、もっとも簡単に廃業・休業する方法をご紹介します。

もっとも重要な均等割の扱いについても解説します。

私自身、勢いで作ってしまった一人株式会社を畳んで、個人事業主に戻りました。

その経験とプロセスをご紹介します。

法人は軽い気持ちで作るもんじゃなかった

1円起業が可能になってから、気軽に法人を作る人が増えています。

私自身も勢いで株式会社を作ってしまいました。

しかし、法人を続けるだけの利益が出せず、10年続けた法人を畳みました。

個人事業主に戻ってみると、あらゆることがシンプルで、本当に楽です。

法人をやるなら、決算関連の事務手続きを税理士に丸投げし、そのコストが気にならないレベルの利益が出ているべきです。

たいした利益が出ていないくせに形ばかり法人を作ると、本当に苦しみだけをもたらします。

法人廃業の情報は少ない

法人設立については、ネットでたくさんの情報があります。

しかし、廃業となると、思ったほど情報がありません。

特に、本音ベースの情報は少ないです。

微々たる売上の一人株式会社が廃業する。これは本来の法人のあり方から外れているので、リアルな情報を載せる人が少ないです。

私は経験者なので、建前抜きで本当の情報をご紹介します。

ひとり法人の解散は現実的ではない

「法人をやめる・畳む」となると、「解散」の情報が出てきます。

これは笑止千万で、零細企業の現実ではありません。

法人をわざわざ精算し、解散手続きを行うのは、まともな中小企業・大企業だけです。

形ばかりの法人を作ってしまった「ひとり法人」では、そんな手続はまったくもって別世界の話です。

たとえば株式会社を解散するとなれば、それがどんな「形ばかりのなんちゃって企業」だとしても、清算人を選定し、「解散登記および清算人の登記」をしなければなりません。

解散までに長いプロセスとコストがかかります。

その手続にしても、コストにしても、負担が大きすぎます。

では、どうやって法人を畳めばいいのでしょうか?

休業届けを出して放置

税務署と市区町村に「休業届け」を出します。

費用は一切かかりません。

休業届けを出して、いっさいの活動を行わず放置することになります。

確定申告をどうするか

税務署は名目上は確定申告を要請しますが、完璧に営業停止して休業している以上、売上は1円もあがらないので、税金は発生しません。

確定申告は行っても行わなくても同じ状態になります。

営業再開する予定のある法人は、確定申告を行わないと青色申告ができなくなります。しかし、廃業するために休業しているわけだから放置しても違いはありません。

いわゆる休眠会社という状態です。

(最重要のテーマである均等割は後述します)

お金の動きがあってはいけない

廃業のために休業届を出し、そのまま確定申告もせずに放置するのであれば、いっさいのお金の動きがあってはいけません。

銀行口座もいっさい動かすべきではありません。

利子が発生すると法人に利益が上がることになるので、口座残高はゼロでなくてはなりません。

銀行口座は休業届出の前にすべて解約できればベストです。

休業と最後の確定申告のタイミング

決算期12月で、8月に休業届けを出したとします。

休業届けの前は営業していたことになりますから、休業後に一度は確定申告を出すことになります

その際、法人の銀行口座一覧を提出する用紙で、すべて解約したことを税務署に伝えることができます。

最後の確定申告のときには、休業届を出したこと、事業を完全に停止したことを明記しましょう。

法務省が登記抹消してくれます

そのまま休眠状態で放置しておくとどうなるでしょうか。

最後の登記から12年たつと、法務省が登記抹消してくれます。

休眠して放置されている法人を登記状態に置いて意味がないからです。

これによって、解散登記をしなくても、綺麗さっぱり法人は消えてなくなります。

これを「みなし解散」といいます。

廃業するような状況に追い込まれた零細企業には、わざわざ清算人と解散の登記なんてする余裕は通常ありません。そのため、休眠状態に入るのが普通で、法務省が代わって解散してくれるわけです。

このように、みなし解散をする休眠会社は、万単位です。

2002年には11万社の休眠会社があり、8万社がみなし解散となりました。

登記していても経営実体のない休眠会社の整理を進める法務省は24日までに、これまで5~12年おきだった職権による「みなし解散」を来年度以降は毎年実施する方針を固めた。

以前は5年に1度でしたが、現在は毎年行っています。

それだけ多くの法人が、正規の手続きである「解散登記」によって登記抹消するのではなく、法務省の「みなし解散」によって自動的に登記抹消されています。

これが零細企業の現実であり、潰れた会社の現実です。

休業中(休眠中)の均等割はどうなる?

上記までは法人廃業の基本であり、問題はここからです。

法人の税金には、国税に払う法人税と、地方自治体に払う法人住民税があります。

法人税はいっさいの営業活動を停止していれば、売上も利益もゼロなので税額は発生しません。

しかし法人住民税には均等割があり、利益がゼロ(または赤字)でも7万円程度の税金が課せられます

この均等割をどうするのか?が、みなし解散を選択するときに問題になります。

市区町村によっては、休業届けを出した法人にたいして、均等割を免除する制度があります

用紙を出して受理されれば、均等割がなくなるので、そのまま放置してみなし解散を待てばいいだけです。

しかし、そのような合理的な制度がない市区町村がほとんどです。

その場合、放置してしまうと、均等割の税金が未払いの状態(未納状態)となるリスクがあります。

どうすればいいでしょうか?

市区町村で事業所の不存在を伝える

東京だったら都税事務所になりますが、それぞれの市区町村の税務担当部署(税務事務所)で相談する必要があります

休業したことを伝え、均等割を免除してもらうように伝えます。

均等割の根拠は「事業所の存在」なので、事業所がないことを税務事務所に伝えます

どうやって相談するのか

市区町村の税務事務所で相談するときには、以下の内容をパソコンで書いて、印刷して提出することをお勧めします。

A4用紙に以下の内容を書いて印刷してください。

  • 日付
  • 法人名・法人の登記住所・法人番号・代表者名・代表者の住所・法人の実印で押印
  • 休業したこと:税務署に休業届けを出して受理されたこと
  • 休業する理由(経営状態が悪いこと等、すべて正直に書く)
  • 営業再開の予定は絶対にないことを明記する
  • 事業所が存在しない事を明記する
  • 事業所がなく、法人組織も存在しないので、均等割を免除してもらうことの要請を書く。
  • 最後に、代表者の手書きサインとハンコ
  • 代表者の連絡先電話番号(税務事務所から連絡が何度かくるかも知れません。電話連絡が取れるようにしておきます。連絡の取りやすい携帯番号が望ましいです)

添付書類として、以下がある方が望ましいです。(以下を添付しないと、提出を求められると思われます)

  • 法人の休業時点(最終期末)の損益計算書・貸借対照表
  • 「税務署に出した休業届の控えのコピー」受付印ありのもの
  • 事務所が存在しないことの証明(表札がないことの写真等)
  • 代表者の個人証明書類のコピー(免許所のコピー等)

上記の書類をもって、市区町村の税務事務所に行って、相談してください。

「法人の経営状態が悪く、休業しました。税務署には休業届が受理されました。法務省のみなし解散を待っています。現在、いっさいの営業活動はしていない状態で、営業再開はありません。事業所は引き払ったのでいっさい存在しません。均等割りを停止してください」

こんな相談になると思います。

お役所は口頭でのやり取りをすごく嫌がります。(言った言わないになるので)

伝えたいことはすべて文書に書いて、それを提出しながら説明します。それが上記のA4の文書となります。

文書を用意せず、要領を得ない言葉で叫ぶようなタイプの申請者は、窓口をたらい回しにされるリスクがあります。すべて明確な文書にしましょう。

休業中の法人の均等割りを免除する制度がある市区町村には、届出の様式があります。

その制度が存在しない市区町村には様式がありませんので、上記のようにA4用紙を自分で用意して、事務所の不存在を伝えるしかありません。

税務事務所の担当者がそれを読んで、確認することになります。通常はいったん提出書類を引き受けてから、後で連絡がきます。

場合によっては、何らかの追加文書の提出を求められるかも知れません。

事業所が存在しないことが確認されて、完全に休眠していることが理解されれば、均等割を課せられることはありません。

法律が現実に追いついていない

みなし解散の数の多さから考えても、日本は法人を解散する制度が整っていません。

解散登記は、まともな中小企業・大企業だけを対象にした制度です。

零細企業が会社を畳むための制度がないんです。(みなし解散がその制度にあたりますが、だとしたら均等割の免除も明確に制度化すべきです

解散の制度は整っていないのに、最低資本金規制が撤廃されて、法人が作りやすくなっています。

1千万円の資金さえ集められない法人の多くは、遅かれ早かれ行き詰まって解散登記をする余裕がなくなるのは明白です。

結局、上記で書いたように、市区町村の税務事務所に相談するという裁量行政に頼ることになります。

実際、税務事務所の担当者も、零細企業とか「ひとり法人」の現実を知っていますから、経営不振で休業した法人に均等割を課すことが現実的でないことをわかっています。

しかし、役人である以上、法律に書いてある以上のことは言えないので、上記のような「こうすればコストをかけずに解散できますよ」みたいなアドバイスはしてくれません。

法人は苦しかった

私は1円起業のブームにのって軽々しく法人を作り、膨大な時間とエネルギーを無駄にしました。

廃業についても本当に調べまくって、ようやく上記のプロセスで身軽になることができました。

このページが、同じように苦しんでいる人のお役に立てれば幸いです。

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コメント

  1. 超零細企業 より:

    先週、税理士に相談に行ってきました。
    赤字なのでもう会社をたたもうかと思う
    と伝えたら、欠損繰り越しがあるし、社長の
    貸付があるからまだ大丈夫と説得されて
    一旦帰ってきました。

    解散は最低でも2-30万
    かかるし個人に戻ったら厚生年金もなく
    社会保険料が大変だとも諭されました。

    休業の話も出ましたが、こんな詳しいことは
    説明なかったです。今もどうしようと悩みネットを
    検索していてこちらにたどり着きました。

    事業所が存在しない事を明記とありますが
    登記住所(事務所)など解約して休業
    する感じなのでしょうか・・?

    休業してもどこかに登記するために事務所を
    置いておくコストがかかると思っていました。
    休業して、また個人で開業して青色申告すれば
    細々と続けられますね。

    少しホッとしました。手続きが面倒そうですが、
    今のこの状態で頑張るよりもはるかにいいので
    役所に相談に行ってみます。

    • 管理人 より:

      ご返信が遅れて申し訳ありません。
      会社はたたむことができたでしょうか。

      登記住所の事務所について。
      事務所があると均等割りがかかるため、登記住所の事務所は存在してはいけません。通常のオフィスであれ、バーチャルオフィスであれ、解約して、登記場所に存在しないようにします。

      問題は自宅兼事務所のケースです。自宅は引っ越すわけにいかず、自宅で仕事ができてしまいます。そこで、玄関の表札に会社名が出ていないことなどを写真で説明して、事務所ではないことを説明します。
      当然ですが、法人のHPをもっていたら、すべて解約します。ネット上でビジネスをやっていると誤解されないように注意してください。

      会社を完全に休業すれば、休眠状態になり、決算も含めて、いっさいの手続きから解放されます。みなし解散をまたずに、個人として青色申告することは可能です。法人成りではなく個人成りですね。

      ところで、コメントにあった税理士のアドバイスに唖然としました。
      赤字状態で回復の見込みがなく、廃業を望んでいる事業主に対して、「個人に戻ったら厚生年金もなく社会保険料が大変だ」というのは信じられない言葉です。
      厚生年金にしても社会保険料にしても、法人を続けているなら法人として払わないといけません。そのコストは個人事業よりはるかに高額です。

      その税理士は、契約を続けたいから、そういう無謀なことを言ったのだと思います。あなたのことを少しも考えていなくて、フィーを得るためにあなたに嘘八百を言っています。