映画館で「首」(北野武監督)を観ました。
2024年1月中旬に観賞。観客席はガラガラでした。興行収入はあまり良くなかったみたいですね。
本能寺の変はあまりにも使い古されたテーマなので、さすがの北野武監督でも観客動員で苦戦したかも。
賛否両論の映画ですが、どちらかというと辛口の人が多いようです。私はまずまず楽しめました。
期待通りのバイオレンスだけど知っている話
北野武監督といえばバイオレンスですね。裏切りの応酬、簡単に人が死んでいく展開。
「首」も期待通りの作品で、見ごたえがあります。
しかし、「本能寺の変」は誰もが知っている話ですから、物語の展開にまったくハラハラ感がないのが残念だった気がします。
アウトレイジシリーズとかだと、先が読めないわけです。簡単に登場人物が死ぬから、まったく読めない。それが映画の魅力を高めているわけですが、この作品は北野映画の魅力が半減していました。
利害ではなく感情
この作品の特色になっているのが男色シーンです。戦国武将の間に恋愛感情があり、肉体関係があり、それが大胆に描かれる。
戦国武将が利害だけで動いているわけではなくて、感情で動いているという。そこに新しさを訴求した作品のようでした。
これが成功しているかどうか、私にはわかりません。その判断をするまえに、男色シーンの多さにちょっと拒否感がありました。
ともかく、信長が荒木の捜索に執着したのも、光秀が荒木を匿ってしまったのも、すべて利害ではなく感情によるものです。この感情を表現するために、わかりやすく「恋愛感情」に置き換えたみたいです。
人間は利害で生きているようにみえて、感情で動いているってことでしょうか。
慣れってのは怖い
映画のタイトルが「首」だけに、切られた首の描写がたくさんあります。最後の方ではまったく違和感がなくなりました。
生首の描写に耐性ができたことに、我ながら驚きました。
2時間ちょっとの映画を観ただけで、生首に違和感がまったくなくなってしまった。
人間の慣れってのは怖いですね。戦国時代の人々も、慣れてしまったから生首になんの恐怖心も持たなかったはず。
同様に、人が簡単に死んでいく戦国時代は、誰もが生死に鈍感になったのかもしれないと想像しました。
多くの気付きをくれる映画でした。人気はなかったようですが、力のある作品だと思います。
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