映画「関心領域」の感想

映画

「関心領域 The Zone of Interest」を映画館で見ました。

アウシュビッツ強制収容所の隣で暮らす所長ルドルフ・ヘスとその家族。彼らは自分たちの理想の生活がすべてだった。そんな話です。

「生活風景が続くので眠くなる」といった感想を見ていたので覚悟していましたが、なかなかどうして退屈せずに鑑賞できました。

効果音がすごすぎる

アカデミー賞の「国際長編映画賞・音響賞」を受賞していましたが、とにかく効果音がすごいです。

ルドルフ・ヘスとその家族はアウシュビッツ強制収容所の隣で暮らしているので、いくら塀があっても収容所の音は聞こえてくるわけです。

散発的に聞こえる銃撃や悲鳴だけではなく、ガス室や焼却施設の燃焼音・タービン音が常時聞こえる。これに多数の人の断末魔が混じったような、形容しがたい恐ろしい音。

収容所の残酷な描写はいっさいありませんが、この音だけでそれが伝わり、この音に無関心でいられる家族の異様さが際立ちます。

この効果音はものすごい重低音なので、これを聴くためだけに映画館に行く価値アリです。

シンプルなメッセージの方が心に残る

この映画は、「所長ヘスとその家族は収容所の隣で暮らしていた」というワンアイディアで作られています。

自分の家族の生活だけに関心をもち、非人道的な怖ろしいことが隣で起きていても無関心でいた人たち。

これは言うまでもなく、誰にでもあてはまることです。

怖ろしい戦争が今も世界で起きていますが、私達の関心は狭い自分の人生だけ。関心の外については、どんな残虐なことでも人は無神経でいられるのです。

この映画が訴えているメッセージはシンプルですが、それだけに心に残ります。

何かの拍子にこの映画のことが思い出されそうです。

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