映画「ラストマイル」の感想

映画

U-nextでラストマイルの配信がはじまったので、さっそく観ました。

昨年大ヒットした映画で、映画館で見ようと思いつつ見逃した作品。ネットで配信されるのを待ちに待っていました。

いやー、これは面白い。大ヒットしたのも納得です。

ジャンルは社会派パニックサスペンスです。日本映画でパニックサスペンスというと、相棒シリーズの映画が思い浮かびますが、それより面白いです。(相棒シリーズも、あれはあれで好きですが)

舞台は、外資系マンモス企業の巨大倉庫。現在、誰もが巨大通販サイトの恩恵を受けつつ、物流は疲弊している現実があります。実にタイムリーな映画設定です。

テロの哀しさ

この映画をみて、つくづく思ったのは、無差別テロというのは「哀しさ」がベースにあるということ。

世の中の理不尽があり、虐げられた人がいて、その構造は「どうにもならない」と思ったとき、テロが起きるのだと思います。

これはパレスチナをはじめとする世界各地のテロにも共通している気がします。

世の中の理不尽にたいして、私達ひとりひとりが「どうにもならない」と諦めたとき、虐げられた人の誰かがテロを起こす。

諦めてはいけない。沈黙してはいけない。見て見ぬふりをしてはいけない。そんなことを思いました。

この映画では、まず世の中の流れ(時代の変化)があり、大きなパワーを持つ企業があり、見せかけの合理性がある。そして、それらを成立させる私達の欲望がある。

その構造の中で、人間の心がすり減らされ、使い捨てにされ、何人かは犠牲者となる。それを誰もが「どうにもならない」と諦める。

そのとき、テロの条件が用意されます。

この映画は大切なメッセージを投げかけていて、多くの人が共感したからこそ大ヒットしたのだと思います。

これほど重いテーマを完璧なエンターテイメントに仕上げているのがすごい。日本映画にありがちな中だるみが1分たりともなくて、最後までノンストップで観れる傑作です。

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