映画「ゲンセンカン主人」の感想

映画

1993年公開の映画「つげ義春ワールド ゲンセンカン主人」を観ました。石井輝男監督作品。

つげ義春の「李さん一家」「紅い花」「ゲンセンカン主人」「池袋百点会」を映像化しています。

いやー、この映画はすごく面白い。ほんとに傑作です。

最後につげ義春一家が出演していてオチも良いです。

完璧な映像化

つげ義春の漫画は今読んでも面白いです。

それを忠実に映画化しているので、やはり面白い。一見すると、原作の持っているパワーがこの映画を面白くさせているように思えます。

だけど、傑作漫画を映像化した日本映画の多くは、駄作が多いです。本作のように、傑作漫画を映像化して傑作映画になっているほうが珍しい。

本作は、つげ義春の仄暗い世界観を完璧に表現しています。映像が素晴らしい。そして俳優さんの演技も全員が素晴らしい。

何度でも観たくなります。

思考を呼び起こさない

4話それぞれの物語やシーンが、ふとしたときに思い出されます。

そのとき、諦観のような感覚で思い出されます。

世界、状況、人間、それぞれを鏡のように自分の内面が映し出して、けっして批評することなく、ただ味わっている。

自分自身の小さな思考で、それぞれの世界、状況、人間を判断する気になれません。

ただ、味わう。

ほんとうの傑作映画を見ると、いつもこういう感覚になります。

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